石田徹也が描くものでそのリアルな質感描写に驚かされるのは部屋の畳や床の板、木の椅子・台など。昨年‘回収’(拙ブログ07/11/15)で細密に描写された畳の目をみたときは瞬時に速水御舟の‘京の舞妓’(06/4/5)の畳を連想した。同じことを今回出品されている上の‘おやじ’でも感じた。 この絵をみていると、‘ビートたけし物語’でたけしのペンキ職人の父が卓袱台をひっくり返して大暴れしている場面を思い浮かべるが、視線が向かうのは、興奮して目が血走っているおやじの顔やそこらじゅうに転がっている茶碗や徳利ではなくて、びっくりするほどリアルな畳のほう。表面がだいぶ擦り切れて目がなくなっていたり、ところどころにシミがついている畳を見事に表現している。御舟もこれをみたら、裸足で逃げるのではなかろうか。 また、フロアの板の木目や椅子にも超写実的な描写が見られる。木目の描き方で印象深いのは藤田嗣治の絵とカイユボ