フォードを動かす若者のライフスタイルと開発者争奪戦 さて、こうした優先順位の逆転をフォードが戦略として前面に押し出している背景を少し深読みしてみよう。同社に確かめたわけではないが、ポイントは、「若者のライフスタイル」に対する訴求ではないかと私は思う。 正直なところ、MyFordTouchそのものでフォードの収益が急激に改善するとは到底思えない。従来のテレマティクスも儲からないと自動車各社はいつも頭を悩ませてきたし、このサービスは「最初の3年間無料」というシロモノである。回線部分はユーザーが自分で契約している携帯を持ち込むだけなので、コストはかからないが回線料金も徴収できない。 それでもあえてフォードがこの逆転世界に突っ込むのは、若者にとって、英語でいう「relevant」、すなわち「自分と関連のあるものという意識」の中に自らをきちんと位置づけるため、ではないかと思う。 若者のライフスタイル