前回の「厳しい財政規律、少ない借金」では、韓国では均衡財政を堅持しており、国家債務が少ない状況である点を解説しました。均衡財政(※1)を堅持して財政の健全化を図ろうとする財政当局の使命感は日韓で違いはありませんが、結果には大きな差が出ています。今回はなぜ韓国では均衡財政の堅持が可能であったのか検討してみます。 国民負担によって均衡財政を実現したわけではない まず均衡財政が堅持できた理由を税収と歳出の両面から見ます。第一に税収です。国の税収について対名目GDP比を見ると、近年は若干上昇していますが、概ね1975年以降は12~14%の間で安定的に推移しています(図1)。 税収は税制の改正に大きく影響を受けますので、この間の税制の変更について確認します。まず所得税率は大きく変化しています。1975年には所得税率は16段階に分かれており、最低税率は8%、最高税率は70%でした。しかし現在は4段階に