西国街道沿いに江戸時代から残っていた旧旅籠(はたご)「富永屋」(京都府向日市寺戸町)の解体が、14日に始まり、400年以上続いた歴史に幕を下ろした。保存できなかったことを惜しむ声や後悔の念。苦渋の決断への安堵(あんど)と寂しさ。富永屋最後の日は、さまざまな思いが交錯した。 【午前8時ごろ】富永屋では、保存を目指して活動してきた総合地球環境学研究所研究員、真貝理香さん(53)=同市向日町=の姿があった。解体を惜しむように写真撮影を続ける。「富永屋は個人の所有物。残したい気持ちがなければ、私たちの活動は妨げになる。所有者の意向に寄り添いながら活動を続けてきましたが…。残念です」と語った。 【同9時20分ごろ】解体業者が準備を始める。近くの女性(56)は「本当に壊されるんですね。市が文化財指定して残してほしかった」と惜しんだ。 【同11時半ごろ】門扉の瓦が外され、部材を切断するチェーンソーの音が