米上院(定数100)は10日、米軍内での性的嫌がらせや暴行などを阻止するための法案を超党派で可決した。激しい戦闘が展開されるアフガニスタンなどでの戦争と異なり、米社会で「見えない戦争」と呼ばれるこの問題をめぐっては、オバマ大統領が軍幹部に綱紀粛正を指示。つらい体験が原因で除隊した元女性兵らは今回の動きを歓迎しているが、さらに踏み込んだ規制を求める声も出ている。(米南部アトランタ 黒沢潤) 「被害後、精神的に私は私でなくなってしまった」-アトランタに住む元米陸軍兵のブリジット・マコイさん(43)がつぶやいた。マコイさんは、1991年の湾岸戦争当時、駐留していたドイツで性的暴行の被害に遭った。 「普通の仕事に就いていれば、仕事後は家に帰り、店に買い物に行くなどして気を紛らわせることもできる。でも、部隊内ではそれは無理。私の苦しみを他人に経験してほしくない」と述べ、今回の議会の動きを歓迎している