「テレビの映像をデザインする」ということは、「テレビのある空間をデザインする」ことでもある、と思います。 僕は、大のテレビ好きの一家で育ちました。両親兄弟そろって、本当によくテレビを見ていました。私の父(中村博といいます)も、自分の好きな番組(駅伝です)になると「いけっ!そらっ!走れっ!抜けっ!」とテレビの目の前にかぶりついて応援していたものです。そんな様子をうしろからぼーっと眺めていると、時々、きらきらー、って光るんですね。父が。 テレビから発する光を、ポマードで脂ぎった父の禿げ頭がうけとめて、反射してるんです。 (大阪の道頓堀の水面が、ネオンの光を映しながら、ゆらめいている風景を思い描いてください。ちょうどあんな感じです。) 駅伝番組の本編、選手達が箱根の山道を走ってるあたりでは、一定の緑色の光をうけて、かるく照りかえす程度なんですが、CMの時間帯にもなると、赤、白、黄色と、目まぐるし