文章を書くことに苦手意識があったら、システム設計の仕事は務まらない。設計情報には図面だけでなく、相応量の文章が添えられるのがふつうだからだ。そして、キャリアの初期にまっとうな文章能力を身につけておいたほうがいい。設計の仕事をまかされてから文章力を磨こうというのではドロナワに過ぎる。 筆者はそれまでも文章を書くことが好きだったが、10年前にある本を読んでからますます好きになった。それ以前は良くも悪くも「情緒優位な文章」を書いていたのだが、その本を読んでからは論理で畳み込んでゆくスタイルにすっかり変わってしまった。それほどにその読書体験は強烈だった。じっさい、筆者の最初の本(「データモデリング入門」)はその著者が書いた本の影響を強く受けている。文章書きのための参考書は山ほど出ているが、訊かれたときには筆者は今でも迷わずにその本を薦めている。 それが、小野田博一著「論理的に話す方法」(日本実業出