気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン (前回から読む) アステカの神話 自分の存在が与えられたものであるという債務を返済する方法は、贈与にたいして自己を贈与して返済することである。これだけが真の意味での返済である。フロイトはすべての人に自己の贈与の欲望、死の欲動がそなわっていると考えたが、バタイユはこの自己の贈与が人間の宗教の根底にあると考えている。宗教は、自己の贈与の行為から始まると考えるのである。 バタイユが語るアステカの神話によると、かつては太陽がなく、世界は闇につつまれていた。そこで神々が集まり、世界を照らすものを作ろうと相談した。するとテクシステカトルという神が、「わたしが世界を照らす役目を引き受けよう」[1]と申しでた。世界を照らすものが一つでは足りないと考えた神々は