社会学はむろん社会を相手にする学問だが、19世紀末から20世紀初頭の確立期にすでに相手にする仕方によって、二つの立場が分かれていた。わかりやすくいうと、ひとつは「方法論的個人主義」で、個人を起点に社会を考える。もうひとつは「方法論的集団主義」と呼ばれているもので、家族やグループや組織の特色から社会を考える。のちにフリードリッヒ・ハイエク(1337夜)が好んだ分け方だ。 個人主義の見方は、個人の行動の意図や判断や動機を重視する。マックス・ウェーバーの「理解社会学」などが代表になる。ウェーバーは社会的な行為そのものを解釈していくことが社会を理解する方法だと考えた。そのためこの見方からは、極端な場合は社会なんてものはなく、行為の実体の個人だけがいるという見方にまで進む。これは「社会唯名論」(ソーシャル・ノミナリズム)ともいう。 集団主義の見方は、社会を有機的にとらえ、個人がどんな行為をしてもそこ