「セレブの街」として知られる東京・六本木。3月中旬、ある中年の中国人夫妻が来日し、東京メトロ六本木駅(港区)から、ほど近いタワーマンションを内見に訪れた。2LDKの部屋の販売価格は2億円を超える。 「東京の中でも一等地だし、にぎやかなのがいい。高級感もある」。普段は上海に住む夫妻は、中層階の窓から東京都心のビル群を眺めながら中国語で語り、満足そうな表情を浮かべた。この日、夫妻は東京都内で計5物件のタワマンを見て回った。 主に中国人向けの不動産売買を手掛ける仲介会社「Worth Land(ワースランド)」(東京都台東区)には、日本の物件を買い求める中国人客が急増している。 中国籍の社長、杉原尋海さん(32)によると、会社はコロナ禍中の2020年11月に設立。当初は売り上げが伸びなかったが、昨年8月、中国人の日本への団体旅行が解禁されると「フェーズ(局面)が変わった」。購入希望者が殺到し始め、