ひぐち・たけひろ/'71年東京都生まれ。出版社勤務を経て、'09年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。著書に『日本のセックス』、『民宿雪国』、『雑司ヶ谷R.I.P.』、『テロルのすべて』、『二十五の瞳』、『ルック・バック・イン・アンガー』がある〔PHOTO〕金井尭子 取材・文/井上華織 —売り上げがすでに10万部超、大きな反響を呼んでいる『タモリ論』ですが、執筆の経緯は樋口さんのデビュー小説『さらば雑司ヶ谷』の一節が大きく関係しているそうですね。 登場人物たちが人類史上もっとも優れたミュージシャンを論じ合う場面で、「小沢健二だ」という意見が出ます。みんなが疑問に思うなか、「四半世紀、お昼の生放送の司会を務めて気が狂わない、あのタモリが絶賛した」と言われて、「タモリが言うなら仕方ないか」と納得する—本編とは直接関係のないこの一節が独り歩きして、一冊の新書になりました。 このエピソードがタモリ