数日前、庭木の枝に小さな鳥の巣を見つけた。お椀型の巣はからっぽで、内側をシュロなどの繊維、外側はコケや地衣類でおおわれ、クモの巣で枝に接着されている。「メジロかな?」可愛らしい緑色の小鳥の姿を思い浮かべて笑顔になりかけたとき、不安におそわれた。コケや地衣類は放射能に汚染されやすいと聞くが、それを巣材に使った小鳥は、どうなってしまうのだろう? そんな疑問をもったとき、書店で見かけたのが本書である。子ども向けの写真絵本だが、解説もしっかりとしていて、読みごたえがある。著者は山形県在住の写真家で、原発事故で被害を受けた福島県の阿武隈山地にも昆虫調査で足を運んでいた。 本書のタイトルを見てまず想像したのは、「放射線を浴びた生物に奇形や生殖能力への影響が出たことがショッキングな写真でたくさん紹介されている」……というものだったが、違った。 テレビ局の記者から「角のまがったカブトムシが見つかっています