2月17日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日銀によるマイナス金利政策の採用は、消費増税の再延期を助長する恐れがあると指摘。提供写真(2016年 ロイター)
2月17日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日銀によるマイナス金利政策の採用は、消費増税の再延期を助長する恐れがあると指摘。提供写真(2016年 ロイター)
11月5日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、アグレッシブな金融政策が資源配分や所得分配を歪め、潜在成長率の回復を阻んでいると指摘。提供写真(2015年 ロイター) [東京 5日] - 中国の追加緩和、日欧の追加緩和観測などを好感し、世界的な株高傾向が続いている。ただ、アグレッシブな金融緩和で株高がもたらされても、それはあくまで一時的で、その先の実体経済への効果が限られるのは、すでに多くの人が認識していることだろう。 各国経済停滞の原因が潜在成長率の低下にあるのなら、そもそも金融緩和で対応できる話ではない。にもかかわらず、ここ数年、多くの政策当局者がケインズ流のシンプルな「所得・支出アプローチ」ばかりで政策を語るようになったことは気がかりだ。日銀のように「期待に働きかける」などと装いを新たにするところもあるが、総需要喚起という点では、基本的な発想は変わらない。
8月4日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、安保関連法案をめぐり安倍政権の支持率が急低下しているが、日銀に対しても逆風が強まりつつあると指摘。提供写真(2015年 ロイター) [東京 4日] - 安保関連法案をめぐり安倍政権の支持率が急低下しているが、日銀に対しても逆風が強まりつつある。もとより「2016年度の前半頃」に2%インフレが達成されるという日銀の見通しは市場の見方からかなり乖(かい)離したものだったが、足元の景気減速やコモディティ価格の一段の低下により、実現性が一層厳しくなっている。事実、市場ではにわかに追加緩和観測が強まりつつある。 念のために言っておくと、足元までの物価動向は、日銀の従来の見通しから特に下振れしているわけではない。消費者物価指数(除く生鮮食品、以下CPIコア)は5月、6月と前年比0.1%の上昇にとどまったが、4月の展望レポートでもCPIの前年比は
5月15日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、金融抑圧によって名目成長率を下回る水準に長期金利を抑制すれば、潜在成長率が劇的に改善しなくても、資産価格が上昇を続け、ユーフォリアが広がると指摘。提供写真(2015年 ロイター) 河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長 [東京 15日] - 日経平均株価が上昇し、例えば2万円などの節目に達すると、筆者に弱気コメントを求めるメディアからの連絡が増える。バランスを取るために必要なのだろうか。筆者がアベノミクスの帰結に対して悲観的であることを多くの人が認識しているのだ。 極端な金融緩和や追加財政など第1の矢、第2の矢で景気を持ち上げることが一時的にできても、第3の矢である成長戦略の効果は劇的に現れるものではない。 それゆえ、アベノミクスの最終的な帰結は、1)インフレが上昇するだけで、ゼロ近傍まで低下した潜在成長率はほとんど改善しな
9月9日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日本の潜在成長率はそう遠くない段階でマイナスの領域に入る可能性があり、それを回避するには国民純貯蓄を食い潰す社会保障費の削減が不可欠だと指摘。提供写真(2014年 ロイター) [東京 9日] - マクロ安定化政策を方向転換すべき時期が到来していると、筆者はかねてより指摘してきた。日本経済のスラック(弛み)がほぼ解消され、追加財政と金融緩和(それに伴う円安)のメリットはほとんどなくなり、デメリットが大きくなっているからである。 円安による景気刺激効果を重視する人が多いが、円安が進んでも国内生産能力の低下から実質輸出が増えない一方で、円安による輸入物価上昇が家計の実質所得を損なっている。消費増税後の個人消費の戻りが弱いのは、増税の後遺症だけでなく、円安も影響している。
黒田日銀は、長期国債の保有額を2倍にし、ベースマネーも2倍に膨らませることで、インフレ期待に働きかけて、デフレからの脱却を目指すという政策を堅持している。しかし、本当にそうした政策は可能なのだろうか。 量的緩和(QE)は少なくともインフレ醸成には有効ではない。それは米国のここ数年の経験からも明らかである。2008年9月のリーマンショック後、米連邦準備理事会(FRB)は、三次にわたる大規模な資産購入プログラムを実施し、バランスシートを急膨張させてきたが、個人消費支出(PCE)コア価格指数を見ると、その間インフレ率は全く上昇していない。
経済成長は重要である。全てではないにせよ、多くの問題を緩和、解決できるからだ。しかし、現実には成長率を高めることは容易ではない。それゆえ、歴代政権は同じような成長戦略を繰り返し策定してきたとも言える。それにしても、到底達成できない非現実的な高い成長目標を掲げる政権が後を絶たないのはなぜか。 かつて大平正芳元首相は「政治が甘い幻想を国民にまき散らすことは慎まなくてはならない」と述べた。まず、我々はこの言葉を重く受け止めるべきである。追加財政や金融緩和で好況を作り出すことを、成長率を高めることだと考える人がいるが、それは明らかに誤りだ。追加財政は「将来の所得の前借り」を行っているだけに過ぎない。借金をいつまでも続けるわけにはいかないのである。
6月24日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、日銀が第二次世界大戦前後のFRBのように国債管理政策に深く組み込まれていく恐れがあると指摘。提供写真(2013年 ロイター) 異次元緩和の副作用で、国債市場の動揺が止まらない。黒田日銀は、2年以内の2%インフレ目標達成を目指し、ネットで年率50兆円、グロスで同90兆円の国債大量購入政策を開始した。ネットの購入額は2013年度当初予算における新規国債発行額の43兆円を上回り、事実上、日銀が財政赤字をファイナンスする格好となっている。紛れもないヘリコプター・ドロップ政策(マネタイゼーション)である。
(前回から読む) 先進国の金融緩和の危険性、副作用については、議論されているのでしょうか。 河野:この対談の2回目で、各国でバブルが起こっているという話をしました。加藤さんも指摘されましたけど、ここ数年、まさにショックに対する中央銀行のアグレッシブな政策が、次なるバブルを醸成し、次なる危機を引き起こすということが繰り返されています。そろそろ、ほかの国に甚大な影響を与えるような大国は、極端な金融政策をやってはいけないという議論を始めないといけないと思っています。 大国は極端な金融政策をとるべきではない 理論上は、管理通貨制度の下では、為替レートの変動でほかの国の金融政策の効果は遮断されますが、実際にはそうなっていません。 結局、アメリカがアグレッシブな金融緩和をすると、多くの国は自国通貨の上昇を避けたいが故に、金融緩和が長期化し、固定化します。そのことで、さまざまな不均衡が起こっているのです
河野:やめられません。マネタイゼーションは社会的に出口が難しい。金融政策だけでは効果がないかもしれませんが、中央銀行ファイナンスによる積極財政、つまりマネタイゼーションには一時的にせよ効果があります。それは、国債発行によって政府が支出を拡大するからです。短期的なコストは金利が上がることですが、中央銀行が国債を購入することで金利を抑えているので、短期的にはコストがないように見えてしまう。 これをやめようとすると景気が悪くなるので、やめられない。それで追加的に続けると、そのときの短期的なコストはないように見えるので、結局、公的債務が膨張を続けるということが、どこの国でも起こっているのです。だから、中央銀行制度(注1)そのものの根幹にかかわる議論になってきているのだと思います。 (注1)中央銀行制度:政府から独立した機関である中央銀行に金融政策を委ねるシステム。金融政策にはインフレ的な運営を求め
「異次元緩和」という表現は、言い得て妙である。通常、中央銀行の政策は、グラジュアリズム(漸進主義)を基本とし、一気呵成の問題解決を目指さない。不確実性が存在する以上、アグレッシブな政策は、その副作用によって、マクロ経済を不安定化させてしまうリスクがあるためだ。 しかし、黒田日銀は戦力の逐次投入は行わないとして一気呵成の問題解決を目指し、アグレッシブな金融緩和策に踏み出した。長短ともにゼロ金利制約に直面し、伝統的な金融政策のトランスミッション・メカニズムはもはや機能していないため、大規模な国債購入によって、人々の「期待」に直接働きかけるという戦略を取ったのだ。 ただ、かねて指摘してきたように、「期待」で動くのは株式や不動産、コモディティ、為替レートなどのストックの価格であって、最終財・サービスの価格や賃金といったフローの価格は簡単には変化しない。フローの価格を動かすべく大胆な金融緩和を続けれ
5月16日、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は、3%程度までの長期金利上昇でも、政府が対応を誤れば、財政問題と銀行危機の負のスパイラルが始まるリスクがあると指摘。提供写真(2013年 ロイター) これまでのコラムでも述べてきたように、アグレッシブな金融緩和と大盤振る舞いの追加財政をパッケージにしたアベノミクスは、今後も追加財政を止めることができず、結局、「マネタイゼーション」の罠に陥るのではないかと筆者は懸念している。このとき問題は、デフレから脱却した際、日銀が国債をアグレッシブに購入しても、長期金利の上昇を食い止めることが難しくなるという点だ。 1%の均衡実質金利を前提にするならば、2%のインフレ予想が定着した場合、長期金利は少なくとも3%程度まで上昇する。長期金利が上昇し、損失が発生すると、投資家は損失リスクへの見返りとして上乗せ金利(リスクプレミアム)を求めるようになる。リスクプレミア
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