新しく始まる物語、終わりを告げる物語 2月24日、熊本は熱狂に包まれていた。日本政府の支援を受け、TSMCがソニーやデンソーといったクライアントとともに建設を進めている半導体工場JASM、"Japan Advanced Semiconductor Manufacturing" の開所式が行われたのだった。大勢の報道関係者が見守る中、岸田総理大臣からお祝いのビデオメッセージが寄せられ、台湾からはTSMC創業者にして半導体業界の生きた伝説モリス•チャンが足を運ぶ。日本の半導体産業復活の鐘が、熊本から鳴り響こうとしている。 熊本で熱狂的なイベントが行われる少し前の2月14日。1人の男がひっそりと世を去った。彼の名前は坂本幸雄。日本の半導体史上で最も異色の経営者。ある時は日の丸半導体の救世主と崇められ、またある時は売国奴と罵られた。 今日2月27日は彼が全力で経営し、世界一の夢を見た半導体メーカー
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