北川一成さんが率いるGRAPHが目指すのは、人の心に響くコミュニケーションデザインの創造という。直感的なデザインであっても、論理的に説明できるのが特徴だ。デザインの効果を高めるために、競争原理を働かせる仕組みも提案する。ビジネスセンスの高さも、クライアントから支持される理由の一つだ。 飛び込み営業をしていた日々に痛感したブランドの大切さ ──デザイナーになったきっかけは。 筑波大学を卒業後、親戚が経営していた「北川紙器印刷」に入社しました。デザイナーには憧れていましたが、印刷職人の親から「プロはそんなに甘くない」と言われていたので、大学卒業後は大学院に進学して知的財産について研究するつもりでした。しかし、北川紙器印刷の経営が思わしくなく、手伝ってほしいと連絡があったのです。それで地元の兵庫県加西市に戻りました。 1989年に、社名をGRAPHに変更することを提案し、デザイン部門も立ち上げま