「子供に福島の魚を食べさせないで!」。10年以上前、首都圏で開いたイベントで、福島の若手漁師は自ら水揚げした魚を目の前で捨てられた。福島第一原発事故からの汚染水流出による猛烈な風評被害は、福島の漁業関係者を絶望の淵に追いやった。そこから地道な検査を重ね、信頼を積み重ねていた最中の去年8月、「処理水の海洋放出」が始まった。汚染水を安全なレベルまで浄化し、希釈したものが処理水とされるが、漁業者たちは風評の再燃を恐れた。しかし、漁業者たちは予想外の状況に直面する。かつて、目の前で自らの魚を捨てられたという若手漁師は、処理水放出後のイベントで、想定を大きく上回る約5000人もの来場者を前に目頭を熱くしていた。 【動画】東京から福島に来た17歳、念願の漁師に 処理水への不安抱えつつ夢追う 去年8月24日、マスメディアの複数のヘリが福島第一原発の上空を旋回していた。多くの漁業関係者が反対する中、国と東