かつて若い世代の男性から絶大な支持を得た週刊誌、『平凡パンチ』。その1974年4月28日号に、興味深い記事が出ています。題して「ダサイもシブイもベシャってる……“女子高生チャン”に浸透する流行語―分析」。70年代半ばの若者ことばを特集した2ページの読み物です。 このタイトルには、当時新しいと見なされた語が織り込んであります。「ダサい」(=やぼったい)、「シブい」(=あか抜けている)は、その頃の流行語でした。 「ベシャる」は、耳慣れない人もいるかもしれません。「しゃべる」の倒語(前後の音を入れ替えたことば)で、戦前からあります。記者は、これも70年代の流行語という扱いで書いているのか、それは分かりません。 記事の冒頭にはこんなリードがついています。 〈ダサイ野郎、ダサイ教師‥‥“ダサイ”なる言葉を生活にとけこませてしまった女高生世代。/今、一体どんな言葉を使い、どんな話し方をしているか〔下略
文化庁が間違った意味で使われがちな言葉を簡単に学べるウェブサイトを新たに作る方針を固めたことに、日本語の専門家が反発しています。 ■「言葉の疑問解決室」文化庁が立ち上げへ 突然ですが、「破天荒」という言葉はどういう場面で使いますか? 20代:「やっていることがめちゃめちゃな人とか、暴れているみたいな意味があるかなと思う」 この言葉はかねてから誤用が指摘されていて、文化庁が行った最新の世論調査では6割以上が「豪快で大胆な様子」の意味で使っていることが明らかになっています。 本来の意味は「誰も成しえなかったことをすること」ですが、この意味で使っているのは2割程度にとどまります。 20代:「めちゃめちゃ褒め言葉じゃないですか。無茶苦茶な人に使うイメージがあったので、意外だったんですね」 こうした状況を背景に、文化庁は「言葉の疑問解決室」というウェブサイトを立ち上げる方針です。本来と異なる意味で使
三省堂辞書サイトでの連載に書いたばかりのことですが、『三省堂国語辞典』第6版に「号泣」の「誤用」の意味が入りました。いわく、(2)〔あやまって〕大いに なみだを流すこと。この用法の成立について、上の連載の文章に例を補ったりして、もう少し詳しく記してみます。 「号」は、「号令」「怒号」で分かるとおり、「さけぶ」という意味です。でも、大声をあげず、いわば「滂沱の涙を流す」とでもいうべき場合に使われているというのが、上の語釈の趣旨です。 声を上げない「号泣」については、早くは、橋本五郎監修・読売新聞新日本語取材班『乱れているか? テレビの言葉』(中公新書ラクレ 2004)p.26で触れられています(元の新聞記事は2003.10.09 夕刊 p.18)。ワイドショーなどでは、過剰な表現のタイトルを多用することが多い。「遺族号泣」「アジト潜入」「極秘入籍発覚」――。大げさな言葉で視聴者の目を引こうと
ブタなどの内臓を切って焼く料理を「ホルモン焼き」と言います。この「ホルモン」は、ドイツ語のHormon(内分泌物質)から来たと考えられます。ところが、「実は日本語だった」と言われることがあります。『日本国語大辞典』第2版の「ホルモン焼き」の項目にも、次のように記されています。 〈一説に、かつて臓物は捨てていたので、ホルモンは「ほうるもん(放物)」に由来するという〉 私が日頃信頼を寄せている辞書の記述ですが、残念ながら、この部分は俗説、つまり事実でないと考えるべきです。 「ほうる」は、特に西日本で「捨てる」の意味で使われます。「ホルモン=ほうるもん」という説は関西あたりから広まったのでしょう。作家の藤本(ふじもと)義(ぎ)一(いち)も小説『商人萬歳』(1983年)の中で〈大阪弁の捨(ほ)る物(もん)であった〉と記しています。 でも、不自然なことがあります。一般に、売る品物のことは「売り物」と
<第1回>国語辞典編さん者が「うんこ」「ちんちん」を超ガチで解説!! 〜35万人が投票した「うんこ・ちんちん総選挙」をひもとく〜 「“うんことちんちん”は、いわば“水と空気”なんです」 ——今冬、コロコロコミック500号の記念イベントとして実施した「うんこ・ちんちん総選挙」!! 編集部の予想をはるかに超える反響で、およそ35万人ものネットユーザーが投票した! “バズ”という名の熱狂。コロコロオンライン編集部は、このイベントの盛り上がりをひもとくことが、メディアとしての責任であると感じ、ある方にインタビューを申し込んだ!! その方とは『三省堂国語辞典』の編さん者である、飯間浩明さん!!!! つまり、超・超・ガチの日本語学者だ!! 長年にわたってコロコロ読者のハートをつかんでてきた、「うんこ」と「ちんちん」に、今、迫る……!!! <プロフィール> 飯間浩明(いいま・ひろあき) 1967年、香川
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki 「○○について調べてみました!」式のまとめサイト、無内容な上に長文で、調べ物のじゃまになるので、何とかならないかと思います。私についての記事もあるんですが、内容が見事なほど間違ってるし、「誤用に厳しい人のようです」などと、私の普段の主張と真逆のことを書かれたりして、やれやれです。 2018-11-06 23:11:20 飯間浩明 @IIMA_Hiroaki ある種のまとめサイトでは、広告収入を目的に、何でも書き殴っていると聞きます。1ミリも関心のないことについて書くのはさぞ苦痛でしょう。授業でいやいやレポートを書くことは誰にもありますが、せめて「可」を取ろうと努力する。まとめサイトには、その努力もない「不可」の文章があふれています。 2018-11-06 23:11:31
蟻沢粧 @arisawasyou 「『おー●お茶』の商品名は男尊女卑では」という話を聞いて、まったくその発想がなかったので驚いた ずっとこういうことだと思っていた 多分違うんだと思う pic.twitter.com/aBQ4pBTvIS 2018-04-26 15:47:52
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で、やりとりが全くかみ合わないことがある。同じ言語を使用しながら、「話の通じない人がいる」と感じてしまうのはなぜか? どういう人に対して「通じない」と思うのか? 国語辞典編さん者の飯間浩明氏に聞いた。 ツイッターなどで日本語ネイティブ同士なのに、まるで宇宙人と会話しているような違和感を持ったことがある人は多いのではないだろうか。 例えば、耳新しい単語が出てきた場合、その意味を調べる前に「知らない」という不満を発言者にぶつけたり、文脈を全く無視した見当違いの返信を投げつけたり……。そんな不可解なことをしているのはこういう人たちなのかもしれない。 この「言葉が通じない人」の特徴を4つに分類したツイートは、あまりにも的を得ていたことで話題になった。ツイートの主は飯間浩明氏。国語辞典編さん者という「言葉のプロ」だ。 「言葉が通じない人」の実例さて、こ
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