多発性硬化症(MS)は中枢神経(脳・脊髄・視神経)に繰り返し炎症がおきる病気で、発症原因がよくわかっていません。欧米人(白人)に多い病気ですが、日本でも約1万人の患者さんがいます。発症年齢は10歳頃から50歳くらいの間で、平均は27歳くらいです。女性の患者さんの割合が多く、男女比は1:3くらいです。根治できる治療法は現在までのところ存在せず、現在厚生労働省が定める公費負担制度特定疾患に含まれています。 症状は患者さん一人一人で全く違いますが、比較的多い症状としては、視力障害、複視、感覚障害、運動麻痺、平衡障害、構音障害、排尿障害などで、平均すると1~2年に1回程度の再発が認められます。症状は自然に、あるいはステロイド治療によってある程度回復し、寛解とよばれる安定期がみられます。この再発と寛解を繰り返すのが多発性硬化症の特徴です。中には重い障害を抱え、介助を要する患者さんもいらっしゃいますが