理化学研究所 田中拓男准主任研究員 光を操り、世界最小レベルの立体的な金属加工に成功した。作り出したのは、高さ約500分の1ミリの銀のマキビシだ。 さまざまな分野での応用が期待されるなか、田中研究員の目標は、この技術を使って「光を自在に操る自然界にない新物質」(メタマテリアル)を作り出すこと。実現すれば、透明人間も夢ではないという。 ミクロの世界の金属立体加工技術と透明人間という、一見関係のなさそうな分野がなぜ結びつくのか。 「体に当たって反射した光と、光が体でさえぎられてできた影。この2つがあるため、私たちの体が見えます」と田中研究員。 ものに当たった光が曲がる角度(屈折率)は一定だと考えられてきた。ところが、最新の研究で、直径約1万分の1ミリという極小の金属製コイルを並べることで、屈折率を変えられることが分かってきたのだ。