仕事が終わって一息つき、ふと「あのドラマを見よう」と思い立つ。とりあえず、一話だけ。 ――そのはずが、気づけば平気で日付をまたいでいる。ひとたび動画配信サービスを起動させると、予告に心を掴まれたり、自動再生機能に背中を押されたりして、やめ時を見失う。 そして「おや、この俳優は誰だろう」とスマホに手を伸ばせば、数日前に検討したインテリアが広告としてカムバックし、今度はネットショッピングが始まる。俳優を調べようとしていたことなんてすっかり忘れて、いそいそとレコメンドの波をサーフィンする。 ビジネスは今や、可処分時間の奪い合い。自社サービスに時間を割いてもらうために仕掛けを施すことは、事業者としては当然ともいえる。最近は「ナッジ」という、特定の行動を促すための行動経済学の理論も注目されている。 しかしユーザーとしては、何かひっかかりを覚える。リターゲティング広告をクリックするのも、レコメンドに乗
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