2本に結ったおさげが麦わら帽子からのぞく「赤毛のアン」は、世界で最も知られた赤毛の女の子かもしれない。しかし日本では、プリンスエドワード島の孤児のアンは、単に一風変わったカナダからの輸入品にとどまらない。国中で愛されている主人公なのだ。 深緑色のよろい戸が付いた農家の家に近づき古めかしい木製の扉を開くと、テリー・ドーズ氏はこれから中で目にするものに身構えた。カナダ最小の州プリンスエドワードアイランド州で育ったドーズ氏は、有名かつ歴史的な場所「グリーン・ゲイブルズ」には生まれてからこれまで何度も訪れてきた。 しかしドーズ氏が今まさに入ろうとしていたこの建物は、その家では全くなかった。9700キロ離れた日本の北海道で忠実に再現されたレプリカだ。カナディアンワールド公園のアトラクションの一つであるこの家には、最盛期には1日4万人が訪れた。