日本各地の公立美術館を筆頭に、財政難のもとにさまざまな締め付けがはじまっている。まるで美術館建設ラッシュの反動のように。 すでに文化行政も批判や見直しなどしにくい“聖域”ではなくなったのだ。 このような状況下で見えてくる日本の文化行政を、美術館の問題を通して探る連載。筆者には、前回「国立新美術館とは何か」を執筆した藤田一人氏。 締め付けられる文化を単に被害者としてとらえず、様々な視点から財政難という問題の背後に隠れた本当の問題を明らかにしたい。(編集部) 2003年度 第一回連載「国立新美術館とは何か?」はこちら ●展望なき日本のひ弱さ 未来への展望を持ち得ない者は、ひ弱だ。 “展望”のなき者は、目の前に立ちはだかる問題に、自信をもって毅然と対峙し、それを乗り越えていくことが出来ない。展望が開けない限り、いや、開こうとしない限り、“いま”という現状を打破できず、ただ、現状を守る