新海誠監督の最新作『君の名は。』を公開初日に鑑賞。上映後、隣席の女性二人の会話が耳に入ってきた。 「超よかったね……」 「うん……」 「50回くらい泣いた……」 「今まで見た映画で1番良かった……」 これがいわゆる粟と稗しか食べたことがないってやつか!と一瞬思いかけたが、私の体は正直なのでとめどなく流れる涙と鼻水を拭うので必死になっていた。ごめんおじさんわかるよ君たちの気持ち。1番かもしれない……。 『君の名は。』は過去作と比べて何段階もの飛躍を果たした、新海誠監督の新しいスタートラインとなる作品であり、監督自身の歴史に、そして日本のアニメ史に刻まれた傑作となったと思う。また作品としての質もさることながら、公開2日間で7億円の興行成績を叩き出していることから、監督史上最大のヒット作となることは確実となっている。 なぜここまでの傑作となり、大ヒットとなり得たのか、と考えてみると、監督自身の経