出入国在留管理庁が出した最終報告書は、期間の上限がない施設への収容など、国際社会から批判され、ウィシュマさんの死が浮かび上がらせた制度の問題には触れていない。身内による調査の限界をあらためて突き付けた形だ。 ウィシュマさんは1月以降、吐血や血圧の低下、体重減少がみられ、手足も動かせない状態に。救えた場面はあったのに、SOSは放置され、面談を重ねた支援者の「今すぐ点滴と入院を」の声は見過ごされた。 ウィシュマさんが死亡前日の3月5日、食べたい物を尋ねた職員に、衰弱して「アロ…」と答えたのに「アロンアルファ?」と聞き返すなど、嘲笑を重ねた。取材で感じるのは、入管庁全体に漂う被収容者への「ゼノフォービア(外国人嫌い)」とも言える意識、人命・人権軽視の姿勢だ。
