映画が終わり、館内が明るくなった時、私(松浦)は右隣で観ていた老婦人が暗くなったスクリーンを見つめたまま、拭いもせずにぽろぽろと涙を流し続けているのに気が付いた。左隣は、高校か大学かの姉妹らしき2人組みだったのだが、2人とも手にハンカチを持っていて、時折目元を押さえていた。 私はといえば、(とんでもない傑作をみた)とくらくらする頭を振っていた。あらかたの涙は鼻に流れ、ぐすぐず鼻をすすっていた。 現在ロードショー公開中のアニメーション映画「この世界の片隅に」(監督:片渕須直)である。 泣ける映画だが、泣けるだけの映画ではない。笑える映画だが笑えるだけの映画でもない。ホームドラマだがホームドラマというだけでもない。迫力の戦争映画だが、戦争一辺倒というわけでもない。 その全てだ。 地味と言えば地味な映画ではある。すずという18歳の絵を描くのが好きな女性が広島から呉に嫁ぎ、戦時下を生きる。その昭和
近年は時に緊張関係が走ることもあったライバル、ハミルトン(右)についに勝利し、引退を決意したロズベルグ(左)。 2016年12月2日、1本のツイートが世界中を駆け巡った。 「I have a message for you」と題されたツイートの送信者は、5日前に初のF1チャンピオンになったばかりのニコ・ロズベルグ。その内容は、今シーズン限りでレースから引退するという衝撃的なものだった。 「25年間レースを続けてきて、F1のチャンピオンになることは、僕の『たったひとつの』夢だった。懸命な努力と、苦痛と、犠牲を払ってきた。その目標をいま、僕はやり遂げた。山を登り、頂上に立った者にしか、この気持ちは味わえない。そして、いまの僕が抱く最も強い思いは、僕の夢を実現させるために支えてきてくれた皆への、深い感謝だ」 「チャンピオンになったらレース生活を終えよう」 31歳のロズベルグが引退を意識し始めたの
2012年に誕生した横浜DeNAベイスターズ。過去4シーズンは下位に低迷し、「クライマックスシリーズ(CS)に進出していない唯一の球団」という、不名誉な状態が続いていたが、今季はレギュラーシーズン3位で初のCS進出。ファーストステージではジャイアンツをくだし、ファイナルステージではカープには負けたものの、実り多きシーズンとなった。 Number Webでは、今季からチームを指揮するラミレス監督に、2016年シーズンを振り返っていただいてのロングインタビューを敢行。 全4回シリーズの第1回は、昨年の監督就任からキャンプを経て、シーズン序盤の苦戦と苦悩についてじっくり語っていただいた。 ――監督1年目、振り返ればいろんなことがありましたね。 「たしかにたくさんのことが起こった。いつも話している通り、どう始まるかではなく、どう終わるかが大事なこと。アップダウンはあったが、いいシーズンを送れたので
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