完全アウェーの中で味わった屈辱。今永がベイスターズの主戦となるためには、必要な洗礼だったのかもしれない。 今永昇太にとっての2016年には、充実感と悔恨が入り混じる。 ドラフト1位指名の誉れとともにプロの門をくぐると、期待に違わぬ才能をきらめかせて開幕ローテーション入りをつかんだ。終わってみれば、先発22試合、135回1/3を投げて8勝9敗、防御率は2.93。そんな数字で表される自身の足跡を、こう評価する。 「プロ入りする前は不安しかなかった。1勝もできないんじゃないかというぐらい自分に対するハードルが低かっただけに、よく投げたなという思いはあります。でも数字を見ると、なんか中途半端だなという感じがしますし、マイナスの言葉しか出てこないですね」 ポジティブとネガティブ――混在する2つの評価は、そのままクライマックスシリーズでの投球内容に当てはまる。 巨人戦では7回1失点、しかし広島戦では初