瀬戸内海の景勝地「鞆(とも)の浦」(広島県福山市)の埋め立てと架橋建設計画について、広島県は正式に断念することを決めた。地元住民らが埋め立て免許を県と福山市へ交付しないように県知事に求めた訴訟の進行協議が15日に広島高裁(野々上友之裁判長)であり、県側が免許申請を取り下げる方針を住民側に伝えた。これを受け、住民側は訴えを取り下げた。約9年続いた訴訟が終結した。 1983年に策定され、「景観保護」と「利便性」をめぐる論争が巻き起こった計画にピリオドが打たれる。 広島県は83年、交通混雑の解消などを目的に計画の原案を策定した。計画は約55億円をかけて①江戸期の港湾施設の常夜灯などが残る「鞆港(ともこう)」の浜を約2ヘクタール埋め立てる②港内を横断する長さ約180メートルの橋を架ける③駐車場やフェリーの埠頭(ふとう)を造る――とされた。これに対し、住民らが2007年に「景観が大きく損なわれる」と
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