福井健策『誰が「知」を独占するのか』 副題は「デジタルアーカイブ戦争」とある。アーカイブとは,過去の情報資産である著作物、音楽、映像などを収集・公開する図書館である。それをデジタル化により、数千点のコンテンツをデータベースで公開する。「知のインフラ」創設が、いま世界でおこなわれつつある。 福井氏によると、いまアメリカの巨大ネット企業(グーグルやアマゾンなど)の情報流通の寡占化や、知の選別・序列化が進みつつあり、これに危機感をもったEUは、2005年巨大電子図書館「ユーロピアーナ」を立ち上げ、対抗しようとしているという。いま3000万点の文化資産がネット公開されており、日本の国立国会図書館の48万点に比べても物凄い。他方では、大学でも世界大学として講義をネット化する「オープンコース」が出現している。 日本では、アーカイブは「ヒト・カネ・著作権」で苦闘している。福井氏の本では、日本の大規模デジ