子供だけに応募資格がある絵画コンクールに大人が作品を応募しても、普通は認められない。だが、ドイツでディズニー映画『バンビ2』のプロモーションを兼ねて催された絵画コンクールでは、エバ・シケネデールさんという70歳の高齢女性が賞を射止めた。高齢者だから特別に認められたというわけではない。 ディズニー映画『バンビ』が初公開されたのは、二次大戦中の1942年のことである。ドイツで上映されたのは、おそらく終戦後のことだろう。実際、エバさんが、その絵を描いたのは1946年のことだった。 日本同様、敗戦国のドイツは物資が不足していたため、当時10歳だったエバさんは白い紙の上に黒い鉛筆だけで小鹿の絵を描いた。審査員たちが目にした現代の子供たちの絵は、カラークレヨンなどで色とりどりに描かれていたわけで、60年の歳月を経た白黒画は逆に彼らの心を打ったのだろう。 エバさんも、応募作品はルール違反に当たらないと確