IIJの山本和彦氏は、「迷惑メールとは、「受信者の意思に反して送受信されるメール全般」である」と定義する。ここで重要なことは、迷惑メールかそうでないかは、メールの内容や形式ではなく、「受け手にとってそのメールが迷惑かどうか」ということで判断されるということだ。 広告、宣伝を目的とした、いわゆるダイレクトメールと迷惑メールの区別は非常にあいまいだ。同じ内容のメールが、受け手によって、迷惑メールにもなればダイレクトメールにもなる。「たとえアダルトコンテンツの未承諾広告であったとしても、そうした情報を欲する人にとってはそれは迷惑メールではないのです。これはすなわち、ISP側の一方的な判断で迷惑メールとそうでないメールを機械的に区別することができないということも意味しています」(山本氏) もう一つ、日本における迷惑メール対策で重要なことが、憲法で保障されている「通信の秘密」の原則との整合性であ
Part2では,スパニング・ツリーのしくみを解剖する。LANスイッチでスパニング・ツリー機能を使うと,どのようにしてループしないネットワークを自動的に作るのか。その核心に迫っていこう。 LANスイッチ同士で情報交換 スパニング・ツリー(spanning tree)の「span」とは,「橋をかける」という意味で,「tree」は「木」という意味だ。ネットワークの要素であるLANスイッチやLANセグメント*1をつないで(橋をかけて),最終的にネットワーク全体をツリー(木)構成にする。これが,この機能を「スパニング・ツリー」と呼ぶ理由である。 スパニング・ツリーが動作しているスイッチ・ネットワークでは,LANスイッチが一部のポートの通信をブロックして,論理的にループのないツリー構造のネットワークを作る(図2-1)。このときLANスイッチ同士で必要な情報をやりとりする。この情報のやりとりに使われるプ
ここからは,実際にSIPがどのように使われているかを見ていこう。SIPを使った典型的なサービスや機能を5個ほど取り上げて,裏でSIPがこなしている仕事を説き明かす。ここを読むことで,SIPが持つ可能性が実感できるだろう。 IPテレビ電話サービス 利用可能なメディアを伝える 最初に取り上げるのは,FTTH*1の普及などによりユーザーが増えつつある「IPテレビ電話サービス」である。NTT東日本が提供しているFLET'S.Netナンバー(FdNナンバー)サービスを例に,しくみをのぞいてみよう。 やりとりはIP電話と同じ IPテレビ電話サービスでは,自分と通話相手との間で映像と音声という2種類のデータをリアルタイムにやりとりする。このしくみを実現するために,SIP UA同士はどのようなSIPメッセージをやりとりしているのだろうか。 実は「SIPの基本的なやりとりは,一般的なIP電話サービスとまった
Part1では,まず「スパニング・ツリーとは何か?」を知り,「どこで何のために使う機能なのか?」といった背景を理解しよう。スパニング・ツリーがネットワークに欠かせない理由を確認する。 イーサはループがないのが大前提 スパニング・ツリーとは,LANのネットワーク上でやりとりしているデータ(MACフレーム)が永遠に回り続けることを防ぐLANスイッチの機能である。LANスイッチでスパニング・ツリーを有効にしていると,もしネットワークがループ構成になっていても,LANスイッチがポートを自動的にブロックし,論理的にはループのない構成を作ってくれる(図1-1)。 なぜ,LANのネットワークをループのない構成にする必要があるのか。 そもそもイーサネットLANは,1本のケーブルをみんなで共有することを前提に誕生した。ネットワークにつながっている各端末は,常にケーブル上を流れるデータを確認して,自分あての通
スパニング・ツリーを実際のネットワークで使っていると,不満を感じることが出てくる。例えば,経路の切り替えが発生すると一時的とはいえネットワークが使えなくなったり,ブロッキング・ポートを柔軟に設定できなかったりする。 スパニング・ツリーには強化された改良版があり,多くのLANスイッチがこうした改良版スパニング・ツリーを搭載している。これらの新しい技術を使えば,より便利にスパニング・ツリーを使える。そこでPart3では,強化された最新のスパニング・ツリーを見てみよう。 切り替え時間を短くするRSTP スパニング・ツリーを使っていて最も気になるのが,経路が切り替わるための時間である。構成によっては,経路が完全に切り替わるまでに最大50秒間待たねばならない(図3-1)。 ネットワークが最大50秒も停止する スパニング・ツリーで経路の切り替えが遅いのは,経路切り替え時におけるLANスイッチの作業がタ
SIP(シップ)(session initiation protocol)といえば,多くの人はIP電話を想像するだろう。実際,SIPはIP電話の呼制御プロトコルとして,この2~3年の間で急速に認知度を増している。 しかし,SIPはIP電話専用のプロトコルではない。もっと汎用的なプロトコルである。通信を始めるために相手を呼び出したり,やりとりするデータ形式などをすり合わせる手順の枠組み*1を決めたもの――それがSIPだ。 とは言っても,これだけではSIPをイメージできないだろう。そこで本特集では,どんなプロトコルかという基本から始め,実際のサービスがどう利用しているか,さらにはSIPを知ったあとにわいてくる疑問に答えていく。さまざまな角度からSIPを見ていくことで,理解が深まるはずだ。 実際の通信を始めるお膳立てをする まずは,SIPとはどんなプロトコルなのかという土台を押さえよう。 我々が
「SIP対応」をうたった機器であれば,どんなサービスにも使えて,どんな機器ともつながるのか。実はSIPの場合,現状はそうなってはいない。SIP対応機器同士でもつながらなかったり,サービスを乗り換えると機器ごと買い換えなくてはならなくなったりする。なぜこうした相互接続性の問題が出てくるのだろうか。 規格書にあいまいさが残る SIPには,RFC3261という標準規格を記した技術文書がある。しかも,現在ではほとんどの製品やソフトがこのRFCに準拠している。なのにつながらないケースがある。 つながらない理由はいくつかあるが,(1)RFCの記述があいまいだったり,必要な規定が決められていない,(2)同じ機能を実現するのに方法が複数ある,(3)お互いにサポートしている機能が異なる――といった三つの理由が代表的なところだ(図3-1)。 図3-1●SIP対応機器同士で相互接続性の問題が生じるわけ 実装ミス
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