最先端の医療検査について書かれた本だが、研究室の試験官の中で起きている話と早合点してはいけない。フツーの人とは縁遠いと思われそうな話を、誰もが関心を寄せる「ふろうちょうじゅ」という話題にぐーっと引きつけて徹底紹介するところが本書の真骨頂だ。 「遺伝子解析」費用はもはや家計レベル! まず、最先端検査の柱となる「遺伝子解析」の費用が、もはや一般家庭にも手が届くレベルと知って驚く。2000年代初頭に米国主導で完成した「ヒトゲノム計画」の予算は2000億円超。それが今や20万円ほどという。 では劇的コストダウンによって、"家庭の医学"はどう変わるのか。本書によると、「対症療法」(従来の西洋医学)から「予測医学」へ変わるという。例えばアンジェリーナ・ジョリーの「両乳房切除・卵巣摘出」のニュース。記憶に新しい「遺伝子検査」の背景を解説したうえで、著者はこういう。 ──これまでの「病気になってから治す」