十数年前、自分がまだ、さいたまのとある県立高校の生徒だった頃、友達以上、恋人未満の知り合いが一人いた。 入学して、たまたま入った委員の仕事で一緒になったその人は、凄くクールでかっこいい人だった。一緒に仕事をして、色々話をして、それでその人のことが気になって、金魚の糞みたいに後ろをくっついて歩いているうちに、なし崩し的にそういう関係になった。自分はその人のことが好きだったし、多分、その人も自分に好意を持っていてくれたのは間違いないと思う(でも、あんなに素敵な人が、クズみたいな自分に好意を持ってくれたなんて、ウソみたいな話だ)。二人で文化祭を回ったり、その人の所属していた管弦学部の演奏を聴きに行ったり、色々、もっと親しくなる機会はあったと思う。でも、それ以上距離を縮めることは結局なかった。それどころか、自分自身が、お互いの関係に泥を塗るようなことを沢山した(なんて馬鹿だったんだろう)。それで、