ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインは1889年にオーストリア・ハンガリー帝国の大富豪の家に生まれた人物。ベルリン工科大学やマンチェスター大学工学部でジェット推進プロペラの設計に打ち込むものの、その過程で数学基礎論に関心が移り、ケンブリッジ大学で数学、論理学、哲学を学んだのだそうです。そして1922年には、唯一の哲学書である『論理哲学論考』を出版。これが当時の哲学界に大きな衝撃を与えました。 兵士であった五年間も含めて六年越しで書かれた原稿は1922年に独英対訳の単行本としてイギリスで出版された。 これが有名な『論理哲学論考』であり、ヴィトゲンシュタインの生前に刊行されたただ一冊の哲学書である。この薄い一冊が当時の哲学界に衝撃を与えた。 従来のほぼすべての哲学を真っ向から否定した書物だと思われたからである。 とはいっても、従来の哲学書のここかしこがまちがっていると指摘したのではない。 人間の