長らく不振にあえいできた日本の電機メーカーの中で、ソニーグループの復活が鮮明になっている。2021年3月期の連結純利益は初めて1兆円を超えた。2000年ごろからかつての輝きを失ったと言われてきたソニーはなぜよみがえったのか。ソニーの復活劇を導いた平井一夫シニアアドバイザー(前社長)が多くの単独取材で明かした証言から、その知られざる舞台裏をひもとく。【関連記事】・・12年4月に社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した平井氏。まさに嵐の中での船出だった。就任直後に発表した12年3月期の連結決算は4年連続の最終赤字。赤字額は過去最大の4566億円にのぼった。株価は1000円を下回り32年ぶりの安値圏に突入した。かつてない危機的な状況に、その年の6月に開いた株主総会では容赦ない批判の声が飛び交った。「1000円割れは屈辱だ」「現状認識が甘い」周囲の懐疑論を生んだ一因に、平井氏の経歴があったことは事