金谷武洋『日本語に主語はいらない』(講談社、2002)が出版されてもうだいぶ経つが、いまだにこの本の問題点は知られていない。事実誤認や偏った視点、実証を伴わない主張などかなり危うい本なのだ。まともな学術研究や日本語教育と合致しない内容であるのに日本語特殊論など受け入れられやすい要素があり、広く浸透している。 先月、図書館総合展での同業者との会話でよりによって専門的知識が世間一般に伝わっていないという話題で同書を肯定的に紹介した人がいて驚いたことがあった。金谷武洋の本はむしろ言語に関する学術研究に基づかないのに一般に広まってしまった本であり、その同業者の批判対象と同じ括りに入るものだ。その場は時間の都合もあって私から過去のいくつかの批判を紹介するに留まった。 この手の話題は何度も遭遇する機会がありそうなので、金谷武洋本を批判した方々の過去の記事にリンクしておく。 『日本語に主語はいらない』に