原子爆弾の開発を指揮したアメリカの物理学者の葛藤と苦悩を描き、今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など最多7部門を受賞した映画『オッペンハイマー』(3月29日公開)の試写会が12日夜、79年前にその原爆が投下された広島の地で開かれた。宣伝担当者によると、この日の試写会が、報道や関係者以外対象としては全国初という。特別に招待された地元の高校生や大学生ら計約110人が鑑賞。アメリカ出身で広島在住の詩人・絵本作家のアーサー・ビナードさん、元広島市長の平岡敬さん、呉市出身の映画監督・作家の森達也さんの3人が、上映後のティーチインに登壇し、それぞれの感想と思いを語った。 上映後に登壇した(左から)平岡敬さん、アーサー・ビナードさん、森達也さん=2024年3月12日、広島市中区、宮崎園子撮影 「私は広島の立場から、核兵器の恐ろしさが十分に描かれていないと思った。オッペンハイマーの人生、非常に複雑な彼の性