妄想と幻覚の違いということに興味があって、図書館にあるわりと専門的な本を借り出して眺めている。妄想するということがどういうことかは、経験的にわかるような気がするけれど、私には幻覚体験がないし、本を書いている専門家たちもそうである様子である。 もちろん入眠時幻覚なら身に覚えがあるが、幽霊的なものがすこし離れたところにじっとしていてこちらを窺っている類の幻覚というのは、ない。ここまで行けば、精神分裂病(旧称)の領域であるようだ。 こういう患者は、幻覚と恐怖感がセットになっているものだが、薬によって恐怖感だけは解消できるものなのらしい(小木貞孝「他律幻覚と無律幻覚 薬物療法を通じてみた分裂病性幻覚」『幻覚の基礎と臨床』(医学書院))。あるいは精神病院の入院が長くなって、病気が慢性化した患者からも恐怖感が消失したように観察されることもあるらしい。 私は視覚的な人間なので、幽霊をどうやって表象化する