友人達の話。 幼少の頃、彼らは山中にある石切場跡を遊び場にしていたという。 「鬼ごっこや陣取り、氷鬼、他何でもやったけど、缶蹴りだけは出来なかったな。 ヒデキがいたから」 誰が名付けたのかはわからないが、その石切場にはヒデキと呼ばれる 目に見えない悪戯者がいたらしい。 小石を蹴り飛ばそうとすると、まるで大きな岩を蹴ったような衝撃が返ってきて、 蹴った子が逆にひっくり返る……そんなことが多々あったのだそうだ。 痛む脚を庇いながら再び石に触れると、今度は問題なく蹴り飛ばせたという。 “これはヒデキが石をしっかりと押さえていたから、力負けして転倒したのだ” ほとんどの子供たちがそのように認識していたという。 「だから缶蹴りが出来なかったんだ。 空き缶を蹴飛ばしても、ヒデキのせいでまず飛ばないんだもの。 下手すりゃこっちが力負けして転けるし」 そこは今でも子供たちの遊び場となっているそうだ。 ヒデ