ウンベルト・エコとは『薔薇の名前』で世界的に知られるようになった作家である。 『フーコーの振り子』、『完全言語の探求』、『前日島』、『カーニバル』など、やや難解だが滅法おもしろい本の著者だ。エコがセレンディピティを主題にした本、面白くないはずはない。 ところで日本にもセレンディピティを端的に表す言葉がある。それは『瓢箪から駒』という熟語だ。エコは作家でもあるが、記号論の学者でもある。本書は先ほどに挙げた『完全言語の探求』の増補的要素を持つ本だ。 本書の一章は「虚偽の力」に当てられている。 「虚偽の力」で面白かったのは、プレスター・ジョンの王国の話だ。始まりは12世紀広範に一通の文書が西欧にもたらされた。 それは、プレスター・ジョンからの書簡であり、十字軍によって蹴散らされた聖地の遙か東に、プレスター・ジョンが統治する楽園がある。この書簡に記されたプレスター・ジョンの王国は季節を通じてマナ(
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