童話に関するmurasaki_kairoのブックマーク (4)

  • 伝承異聞「自動車」|ムラサキ

    自動車がまだ珍しかった頃の話。 舗装もされていない村道に土煙を立てて自動車が走ると、近所の子どもたちがその後ろを追いかけるのであった。 ある日、村道をまた一台の車が走っていった。村の衆はまた車が通りよるわいと、畑から車に目をやった。 車の天井に女が立っていた。 白い着物を着ている。 車は女を乗せたまま走っていく。 村道を走るとき、大抵の車はがたがた揺れるが、その女が揺れている様子はない。 異様な気配を察して子どもたちもその時ばかりは車を追いかけることをやめた。 ただ、自動車が珍しい時代である。 村人たちも自動車とはああいうものなのかもしれないと自らを納得させて、口々に 「はて」 と呟いただけだった。 「しかし」 と当時を振り返り老爺は語る。 「今考えりゃ異常だ。」 ちなみにその時走った車は当時、村にあったどの車でも無かったという。 同じ古翁から自動車にまつわる話をもう一話伺う。 時代が下っ

    伝承異聞「自動車」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2018/01/13
    民話や昔話が好きなので、自分で作るようになりました。創作民話と呼ぶそうですが、民話って語り継がれたものだから創作の時点で偽物感が強いですよね。 なんか良い呼び名がないかなあ。
  • 絵のない絵本「魚の化物」|ムラサキ

    農夫がいた。 ある日お腹を空かせた農夫は水車小屋を後にして、旅に出かけた。 道端に年を取った岩男が座っていた。 彼の体は岩石でできていた。頑丈な体でよく働いたものだが、年を取ってからは関節が固まって動くのも難儀するようになった。 「何処へ行くんだ」と岩男が言った。 「べるものがないから、べるに困らない国を探しに行くのさ」 それを聞いて岩男が言った。 「よし、俺も行こう」 また旅を続けていると道端に木男がいた。 彼の体は木でできていた。若いうちは枝もよくしなって働けたものだが、年を取ってからは中身がスカスカになって枝がポキポキ折れてばかりいる。 「何処へ行くんだ」と木男が言った。 「べるに困らない国を探しに行くのさ」と岩男が言った。 「よし俺も行こう」と木男が言った。 三人が歩いていると道端に麻紐男がいた。彼の体は麻紐でできていた。 若いうちは物事を固く結びつけて、よく働いたものだが最

    絵のない絵本「魚の化物」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2017/12/14
    相互扶助ということ。 助け合いの精神を童話にしました。 とてもそんな話に思えないって? おかしいなあ。
  • 絵のない絵本「スイートホーム」|ムラサキ

    あるところに。 素敵なお家がありました。 いったい何が素敵か、ですって? そのお家は住んでいる人の 望むようなお家に姿を変えるのです。 あるときは 数学者が住みました。 ほらね、凄くアカデミックなお家になったでしょ? またあるときは 女優が住みました。 鏡ばっかり! またあるときは 子どもの生まれた若い家族が住みました。 子どもが遊べるような すべり台。 ブランコ。 隠れ家。 ちっちゃなテーブルに ちっちゃな椅子。 たくさんのおもちゃ! 素敵な家は子どもが喜ぶように 一生懸命かたちを変えていきました。 でも 子どもはいなくなってしまいました。 そして 家に残ったのは 男の人が一人だけ。 素敵な家は段々歪んでいきました。 溶けたようになって、グニャグニャに。 段々汚い色になっていきました。 気持ちの悪い装飾が付くようになりました。 コウモリ。 蜘蛛。 おばけ。 素敵な家は悲しくなりました。

    絵のない絵本「スイートホーム」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2017/12/13
    絵のない絵本シリーズ。 絵はありませんが読者様が思い思いのイラストを想像できるように幅を持たせた書き方を… しました、と言いたいところですが如何でしょうか?
  • 絵のない絵本「スノウマン」|ムラサキ

    スノウマンは一人で山奥に住んでいる。小さな畑を持ち、野菜を育てている。 彼の所に訪れる者は萬(よろづ)屋のゴードンしかいない。 ゴードンは月に一回スノウマンにパンと町の四方山話を届ける。 スノウマンはゴードンから聞く町の話が好きだった。 町ではアン・メアリが結婚したとか、その相手が隣町の若者でパン屋の息子は失恋したとか。洋服屋のアンダーソンのが子を産んで、学校の飼育舎で子どもたちが世話をしているとか。他愛のない話ばかりであったが、スノウマンは愉しくそれを聞いていた。 ある日ゴードンは言った。 町ではみんな元気にやっているよ。大きなお祭りが始まるんだ。毎晩花火が上がるんだよ。 王様の軍隊が飛行機をたくさん飛ばしてフライトショーもやるんだ。 子どもたちは飛行機に向かって風船を飛ばすんだよ。 お祭りがあんまり大きいので学校もしばらく休みになるんだ、とゴードンは言った。 スノウマンは子どもたち

    絵のない絵本「スノウマン」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2017/12/13
    どこにでも転がってるようなお話で大変恐縮です。深まりつつある冬に免じてお許し下さい
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