2018年1月17日のブックマーク (1件)

  • 伝承異聞「ポスト」|ムラサキ

    古翁の村にポストが来た時の話。 村にも郵便制度が拡充し、役場の隣に郵便局ができた。同時に村で初となるポストが局の前に設置された。 朱色に塗られて屹立するポストは村民の耳目を集めた。 翁の言葉を借りれば村に郵便ブームが到来したのである。 その古翁もまた東京に出た兄を慕って葉書を書いた。 まだ幼かった翁は字が上手に書けない。しかし、見様見真似でなんとか住所と簡単な挨拶を書いた。 葉書は子どもには高価な代物であったので、翁の持つ駄賃では買うことはできない。 家の文箱に仕舞われていた葉書をこっそり拝借した。 あとは葉書をポストに投じるだけとなったが、葉書を無断で拝借したことの後ろめたさから、往来の多い日中にポストに近寄ることが憚られた。 かくして少年であった翁は夜半に家を抜け出して、人気のない往来を進みポストに葉書を投函する旅を決行したのである。 誰かに見つかるのではないかと冷や冷やしながら、なる

    伝承異聞「ポスト」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2018/01/17
    創作民話シリーズ。 村にポストが来た話。 明治四年に前島密が郵便制度を開始。この舞台は明治末期を想定している。