低賃金で働く正社員が増えている。背景には経済のグローバル化と日本型雇用の崩壊がある。AERA 2021年11月29日号から。 【図】増加する最低賃金並みで働く正社員の割合はこちら * * * 手取り14万円──。毎月の給与明細を見るたびに、関東地方で暮らす会社員の女性(20代)は嘆息する。 「夢も希望も持てないです」 就活に失敗し、大学を卒業後は塾の講師やパン屋のアルバイトなどで生活費を稼いだ。当時の収入は手取りで25万円ほど。普通に暮らせたが、安定した仕事に就こうと2年前にインターネットで見つけたのが今の会社だった。社員20人程度の建築会社の事務職。給与が低いことはわかっていたが、賞与もあるというので決めた。 雇用形態は「正社員」。だが、賞与は「スズメの涙」程度だった。年収は300万円いくかいかないか。 「バイトしていたときのほうがお金はありました」 ■外食せず服も買わない 一人暮ら