73 年発表の第一作「Gryphon」。 二つの木管楽器とギター、ハープシコード、パーカッションから成るアコースティック・アンサンブルが奏でる中世風のサウンドであり、まさしく「古楽ロック」というべき内容である。 本格的な学究である音楽家が、現代のポップス、ロックと交差/刺激し合った結果生まれた音は、きわめてユニークかつ前衛的なものとなった。 いい具合に古びて味わいを持つ世俗の音に宮廷の雅を交えたサウンドは、まずふくよかで品のある芳香を放ち、そして素朴な躍動感ももっている。 また、中世音楽といっても、いわゆるトラッドといわれる世俗のものが今のポップスと通底するのは当然(ともに庶民の娯楽である)であり、ここでの試みは、現代において「古典音楽」として奉られてしまうような堅苦しい世界から音楽を脱出させて、自然なポジションにすえ直したことといってもいいだろう。 アプローチの種類も、古楽風のフレーズを