ケナガマンモス(Mammuthus primigenius、以下マンモスと略します)は、北半球の広範囲にわたって生息、氷河期の終了とともに減少し、4000年前に絶滅した非常に著名な動物です。永久凍土からは、マンモスの骨だけでなく筋肉などの軟組織も発掘されることから、それらの組織を用いて個体再生ができるかもしれないと、各国で研究が進んでいます。 近畿大学では、近年急速に発達した発生工学的手法を用いれば古代の生物も再生できるのではないかと考え、20年以上にわたり、シベリアでマンモスの組織を発掘し、回収された細胞核を用いて体細胞核移植実験をおこなってきました。2019年3月には、2万8000年前のマンモス細胞核が生物学的な特性を維持していることを初めて確認した論文を、科学誌「Scientific Reports」に発表しました。ここでは、私たちの研究をはじめとするマンモス再生研究の最前線、さらに