日本大が設置した特別調査委員会は10日、日大病院(東京都千代田区)が田中英寿元理事長(76)の入院時に個室料計約1116万円を請求していなかったことが判明したと発表した。新たな不正と認定し、日大に速やかな請求を求めた。 調査委によると、田中氏は在任期間中の令和2年3月~3年11月に計88日、日大病院に入院したが、病院側は個室料を請求しなかった。一部職員は「理事長は個室料免除の慣行があった」と説明。調査委は「合理的な慣行ではなく、田中氏への忖(そん)度(たく)に過ぎない」と結論付けた。田中氏は聞き取りに応じていない。 調査委は昨年8月から、立件された脱税や背任事件以外に田中氏や元理事らが関与した不正がないか調べている。10日に発表した中間報告では、元理事らが系列病院への医薬品納入で新たな不正に関与していたことも明らかになった。立件分を含めて日大の損害額は少なくとも約8億5千万円に上るという。