神宮の杜(もり)に巨大な施設が浮かび上がった昨年12月21日夜。まばゆい照明が降り注ぐ真新しい陸上トラックで、男子100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルト(33)や障害のあるランナーらがバトンをつないだ。人気アイドルグループは歌を披露。コンサートでも使えることを周知した国立競技場は、6万人の熱狂に包まれた。「またここに戻ってきて走りたい」。陸上短距離で東京五輪出場を狙う桐生祥秀(24)=滋賀県彦根市出身=は、リレー後の会見で決意を語った。 ■着工遅れ急ピッチ 総工費の膨張で旧計画が白紙撤回されるなど混乱の末、産声を上げた東京五輪・パラリンピックの主会場。予定より約1年2カ月遅れの着工だったが、急ピッチの36カ月で工事が完了した。設置本部長を務めた日本スポーツ振興センター(JSC)の今泉柔剛理事は、約束した工期を守れたとアピールし「人と社会、地球に優しいスタジアムとなった」と胸を張る。