(要旨) 理系学問としての情報科学は20世紀半ばに誕生したが、文系学問と理系学問の接点として「情報学(社会情報学)」が広く認められるようになったのは20世紀末のことである。 直接の契機は周知のとおり、パソコンやインターネットなどITの急速の普及であった。 理系学問においてコンピュータは1950~60年代から利用されてきたが、現在では、文系学問でも研究教育で広くITが活用されている。 しかし、単なるIT応用分野の寄せ集めでは、情報学の名に値しない。「情報概念にもとづく文理融合の知」が情報学であり、とくにその中で社会現象を扱う分野を社会情報学と呼ぶならば、その構築は当然大きな困難をともなう。文系学問と理系学問の情報概念のあいだには頼著な相違があるからである。 文と理をへだてる壁をのりこえる試みはいろいろ考えられるが、本発表では、一つの試みとして、オートポイエーシス理論を応用