兵士デカルト―戦いから祈りへ 作者: 小泉義之出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 1995/10/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (7件) を見る (前略)古いものを戦争によって破壊し尽くすこと、これが兵士デカルトの期待であったはずである。このような感性や思想が魅惑的であることを認めておかなければならない。 しかしそんな期待は必ず裏切られるであろう。(後略)(p25) 坂口安吾に代表されるように、「戦争の時代」とか「秩序以前の時代」としてとらえられる近世の体験や思想を、近代における秩序や公共体の形成に対比させて肯定的にとらえる考えというものは、西洋のみならず日本にもある。 本書も、そうした観点をとっていることは、最初の部分で強調されている。 カントや(徂徠のような)江戸の儒学者のように、戦争を傍観者として眺めて論評したり批判したりする<大人>の態度が批判さ