働いている人は、一定の基準を満たせば有給休暇をとることができる。よく知られていることのように思うが、多くの労働相談にのってきた弁護士の笹山尚人氏は「そんな制度があるんですか」と驚く人を多く見てきたという。なぜ労働に関する基本的な知識を持たない人が多いのか。笹山氏は、「教育の段階から労働法を学ぶべき」と提唱する。 ※以下は笹山尚人『ブラック職場 過ちはなぜ繰り返されるのか』(光文社新書)の「私たちは労働法を知らない」(20ページ)を再編集したものです。 私たちは労働法を知らない ネンジユウキュウキュウカ……何すか、それ? 「ブラック職場」というテーマを詳しく論じる手始めに、まず、私が弁護士になってまだ間もないころに起きた忘れられない体験を記したい。 そのころ私は、青年労働者、非正規雇用労働者が置かれている過酷な現状に対して、彼らの地位向上や権利の実現に向けて何らかの貢献をしたいという気持ちを