いま一部フェミニストによるトランスジェンダーに関する言説がSNS上で物議を醸すことも多い中、これまで日本のフェミニズム理論に大きな役割を果たした江原由美子さんは、周司あきらさんと高井ゆと里さんの共著『トランスジェンダー入門』(集英社新書)をどう読んだのでしょうか。 本書は、タイトルの通り、「トランスジェンダーについて知りたい」と思う人が最初に知っておくべきことを書いた本である。いわゆる「LGBT理解増進法」の成立等の影響もあり、今年(2023年)においては、インターネットや新聞などのメディアには、トランスジェンダーに関する言説が溢れている。そうであればいまさら「入門」書でもないだろうと思う人がいるかもしれない。しかし、そう思った人こそ、ぜひ本書を読んでほしい。いや読む必要があるとさえ、評者は思う。 なぜか。それは現在「トランスジェンダー」について溢れている言説の中には、正確さにおいてかなり
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